東京高等裁判所 昭和39年(ネ)1350号 判決
看做し成功報酬支払の特約は、依頼者との間の信頼関係を基礎とし、専門的な知識経験によつて受任事項の処理に当る弁護士のために、勝訴等の場合について約された成功報酬金に対する期待を、依頼者の恣意による解任等により喪失することを防ぎ受任弁護士の利益を守ることをその趣旨とするものであり、従つて依頼者が当該弁護士を信頼できないとし、それについて客観的に正当な事由があると認められるような場合の解任については、右特約の適用はないものと解するのが相当である。蓋し、右のような場合にも前記特約の適用があるとすれば、看做し成功報酬の出捐を虞れる依頼者が不当に委任関係の継続を強いられることになりかねないのであつて、衡平の理念に反するからである。
(岸上 小野沢 田中)